2020.06.04
元気が出る1分コラム

正義中毒に陥らないために

日本を元気にする!運動会屋遠藤のつぶやき Vol.25

営業する店舗の店頭やライブハウスに匿名で脅迫めいた貼り紙がされ、他府県ナンバーの車にあおり運転や投石がされ、公園に子どもを連れて行っただけで警察に通報される。とある公園の砂場にはカッターの替え刃20本以上が落ちていたそうです。新型コロナウイルス感染症拡大防止のための自粛が長期化し、力づくで自粛させようとするいわゆる「自粛警察」の行き過ぎとも思える行為です。

以前このコラムで、感染症の拡大が生む“差別”というコロナのもう一つの怖さについて触れました。人は自分の価値観や行動基準に合わないものを排除して、心の安定を保とうとし、共通の敵を見つけて一緒に攻撃し、仲間同士の結束を強めようとします。そして、この行動の背後に「正しいことをしている」という「正義感の思い込み」があれば、もはや排除や攻撃は止まらず、この行動で一種の快楽さえ覚えるのだそうです。SNSの普及で、顔を合わせず匿名で行われるこの種の排除や攻撃は、更に拍車をかけています。「正義中毒」と呼ばれる正義感が暴走する状態です。

今後更に、独善的なそれぞれの「正義感」「価値観」が暴走してしまい、人々の間に相互不信が生まれてしまうのではないかと危惧します。そして、新型コロナウイルスの感染拡大が止まり自粛が解除されたとしても、この相互不信の状況は我々の心に残ってしまうのではないでしょうか。

このような「正義中毒」に陥らないためにはどうすればいいのでしょうか。

それは、自分の信じている「正義」は最大限尊重されるべきですが、それは絶対的なものではないと気づくことだと思います。
一時、教職員に無理難題を突き付ける保護者の存在が大きな社会問題となりましたが、「モンスターペアレンツ」と呼ばれるようになったところ、このような保護者が一気に減ったそうです。自分以外の他の存在からどう見られているのかが分かり、行動が変わったのだそうです。

組織の力を高めていくためには、メンバーのそれぞれの強みが最大限表現されて、弱みは補い合うことが大切です。そのためには、相手を“尊重する”という考えが共有されていることが必要不可欠です。直接顔を合わせることが難しい状況が続きますが、オンラインを使いながら、相手の考え、価値観を尊重し合える場をたくさん作って、“社会から求められ続ける組織”を作っていきましょう!

この記事を書いた人
遠藤 直哉

ファシリテーター

遠藤 直哉

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